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「おー!やっぱりキレイだぜぃ」
満開の桜の樹に登って見る風景はブン姫が予想
していたよりも素晴らしかった。
薄紅の花びらの向こうには大奥の建物と、
白い外壁と黒々とした甍の天守を持った本丸が見え
将に壮観だ。
「……あそこのどこかに上様がいんだよなー。」
ブン姫は
『急に輿入れが決まって慌しかったから、よくよく考えたこともなかったけど
上様ってどんなヤツなんだろ?
俺と同い年らしいけど…赤也みたいなんだったらヤダな…。』
などと失礼なコトを考えながら本丸のどこかにいるであろう
自分の夫に想いを馳せる。
『…それに今夜、初対面だし…』
頭の隅に追いやっていた重大な事実を思い出して、
頭を抱えて「うーわぁー」と首を振っていた時―
「何をしているんだい?」
樹の下から凛とした声がブン姫の耳に届いた―
※※※※※※※※※※※※※※※※
幸ブン大奥最終話~!!
本日思いついた所でとりあえず区切りますw
やっと輿入れしに来た嫁みたいになってきたブン姫
「ん…」
腕の中の温かいものが動く気配を感じて、
意識が上昇する。
ゆっくりと目を開けると俺の腕に頭を預けて眠る
御台の穏やかな寝顔がぼんやりと浮かんでくる。
普段、越前を引き連れて騒ぎを巻き起こしている
イタズラっぽい表情も眠っている今ではなりを潜めていて、
いつもよりあどけなく見える。
その可愛らしさに、ふふっと微笑みながら、そのまっすぐな
緋色の髪に手を伸ばし梳いてみると
髪の擦れる感覚がくすぐったかったのか
ブン姫は「ん~~っ」と唸ってむずがるって身じろきをした。
起しちゃったかな?と焦ると安心する体勢を探すように動き、
もそもそと俺のほうに近寄って俺の胸に顔をこすり付けるように
して安心したように眠りの世界に落ちていった。
安堵の息を吐いて再びブン姫の寝顔を見つめる。
もし、俺とブン姫が将軍と御台所としてでなく出会っていたら
どうなってたかな?
ふと思い浮かんだ考えに想いを馳せる。
”もしも”、俺がどこかの商家の跡取り息子でブン姫が
近くの茶屋の看板娘…とかだったら俺たちはどうなっていただろうか?
そうだったとしたら、対面を気にせずに「ブン太」,「幸村」と呼び合える。
それにブン姫は脱走騒ぎを起す必要もないし
自由奔放なブン姫にとって大奥という閉鎖空間に閉じ込めておくよりもよいのではないか?
と思える。
…今更こんなことを考えたってしょうがないな。
そう、考えを否定して、くすくすと苦笑する。
「”もし”ブン太が茶屋の看板娘だったら、ブン太は可愛いから人気が有りすぎて
俺には高嶺の花だったかもしれないしね」
ブン姫の額にチュッと口付けを送り、ブン姫を抱き直して目を閉じた。
今は将軍という身分に縛られて、自由な君を縛ることしか出来ないけれど
お前を手放す気はさらさら無いんだ。
でも、”もし”来世というものが存在するのならば、どうか俺とブン太が
何にも縛られること無く、自由に生きられるように生まれたい。
「ブン太」,「幸村」と呼び合い、同じ趣味を堂々と楽しめるような
時代に…。
そして、俺はまたお前と恋をするんだ。
―神仏というものが本当に存在するならばどうかこの願いを聞き届けてほしい。
未だ夜の気配の去らない寝室の中にはブン姫の穏やかな寝息だけが響いていた。
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ブン太が茶屋(団子屋)の看板娘で幸村が大店の跡取り息子
って設定もいいなぁ~。
というふと思い浮かんだ考えと
実は将軍幸村と御台所ブン姫が立海大付属の幸村精市と丸井ブン太の
前世だったらいいかもww
という思いつきをミックスさせて作ってみた。