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「上様、御願いしたきことがございます。」
「何かな?」
「上様の御婚儀の事にございます。」
「婚儀?」

居並ぶ老中たちの上座、上段の間に座していた将軍・幸村は首を傾げながら、
自分の腹心でもある男に問い返した。

「上様に置かれましては、御歳16とおなりですが、御病気と御公務が多忙により未だに
 御台様を迎えられておりません。
 しかし、御匙からも御病気は快癒したと御墨付きとのこと、然るべき家より御台様を
 御向かえください。」
「世継ぎをもうけることも将軍の仕事…ということかな。手塚。」
「はい。」
 将軍が重々しく返事を返した男から視線を他の者たちに移すと、皆一様に『手塚殿の申す通り』
 と言うように主君の返事を期待を込めたまなざしで待ち構えている。

「分かった。相手は手塚、君に任せるよ。それじゃあ、解散。」
今の自分の年齢で結婚も婚約もしていないことは一般的におかしいという
ことは自覚しているので、幸村は一も二もなく、承諾して座を立った。

相手はどんな人でも構わない。きっと名門貴族の大人しく慎ましやかな深窓の
姫君がくるのだろうが、どんな相手でもそこそこ上手くやっていける自信はある。

「さて…、どんな女性(ひと)が来るのかな。」

一度入ったら死ぬまで逃れられぬ大奥という箱庭に自分の為に押し込められるだろう女性に
一時思いを巡らして、幸村は中奥の自分の居室に向かって歩き出した。
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