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思い付いたネタのたまり場。
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「おかえり、遅かったね…ってどうしたのブン太!?」
 「なんでもねぇよ。」
  いつもの様にブン太を玄関まで迎えに行くと、
  ブン太は玄関の廊下に突っ伏すように倒れていた。

 「なんでもない訳が無いだろう?…ってお酒くさいね、飲んだの?」
 「おうっ!飲まねぇとやってらんなぜぃ!」
 「もう…しょうがないなぁ…。」
  ブン太の両脇に手を入れて体を持ち上げ、半ば引きずる
  ようにリビングにブン太を移動する。
  その間、ブン太はされるがままで鼻歌を歌ってご機嫌な
  風を装おうとしているが、その鼻歌は泣き出す直前のように
  震えていた。

 「あのさぁ…。オレ、今日仕事で失敗しちゃってさ。」
  ブン太をソファーに座らせて水でも飲ませようと
  キッチンに行こうとした俺の腕をブン太が掴んで、
  フローリングに向かい合わせになるように座らせる。
 「んで、部長に呼ばれて怒られてさ。今日の事だけじゃなくて
  普段の細かいこともいっぱい言われて。これまで自分なりに
  全力で頑張ってたつもりだったのに、全然伝わって無かった
  のかよって…」
   その瞬間に瞳から零れ落ちた滴を見せたくないと言うように
   ブン太は俺の左肩に頭を預けた。
   服の左肩が熱い涙で少しずつ濡れていくのを感じて思わず
   左手をそっとブン太の頭に添えて軽く髪を梳くように
   頭を撫でた。

 「わかってるよ。きっとみんなブン太が頑張っていること、
  わかってるよ。少なくとも俺はブン太が頑張ってること、
  わかってる。」
   だから元気を出して…そう続けて囁く代わりに、俺はブン太
   右の手をブン太の背中に回してぎゅっと抱きしめた。

                      by  僕から君への10の言葉 2.わかってる COUNT TEN.
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「いってらっしゃい。」
  その言葉と共に額に降って来たくちづけに
  不覚にも一瞬固まってしまったが、
  すぐさま鳩尾に拳をお見舞いしてやると目の前の男は
  『ぐふぅ!』と奇妙な声を上げるとその場に蹲ってしまった。
  まぁ、ほぼ反射で加減なく人体の急所を殴ったから相当痛いだろう。

 「ペットのくせにバカな事すんじゃねぇ!」
  自業自得だっ!と哀れっぽい目で蹲ったまま見上げてくる
  幸村を怒鳴りつけると、生意気な事に反論してくる。

 「仕事に向かうご主人様へのペットからの頑張ってね、
  っていう精一杯の愛情表現だよ。」
 「は?フツーのペットはやんねぇよ!
  いってらっしゃいのキスなんてデコでもやるのは、
  カップルか新婚さんって相場は決まってんだよ!」
 「あ、ブン太。彼女にいってらっしゃいのキス
  今までしてもらったことない?もしかして夢だった?
  ブン太の初めて頂いちゃって悪かったね。」
 「ぜってー、悪いと思ってないだろぃ!」
  そんなことを話している間もニヤニヤした顔を
  している幸村にイラっとして幸村の頭目掛けて思いっきり
  チョップを振り下ろしてやった。

 「痛っ!」
 「ふん、一生痛がってろ、いってきます!」
  コイツに付き合ってたらいい加減仕事に遅れる!
  とばかりに言い捨てて家を飛び出した。
  閉じる直前に扉の向こうから再び「いってらっしゃい」
  という声が聞こえた瞬間…ふと、朝、こんな風に送り出して
  くれる人がいるっていいなと思わず思ってしまった自分に
  また腹を立て、帰ったら絶対幸村に八つ当たりをしてやろう。
  と心に誓うのだった。

            by 私から貴方への10の言葉 1.いってらっしゃい COUNT TEN.
 


 俺は静かに君の帰りを待つ。
 気になるテレビ番組があっても、音楽が聴きたい気分でも、
 決して音の立つことはせずに。

 そして、静かなこの家の玄関からかちゃりと鍵の音が聞こえたら、
 どこにいてもすぐに出迎えに行くんだ。
 疲れているご主人様にペットなりの最大限のお出迎えをする
 ために…。

 「おかえり、ブン太。お疲れ様。」

                              by 僕から君への10の言葉 1.おかえり COUNT TEN.
リビングに置かれているソファーの窓際に座って
ご機嫌斜めに雨粒を零している空を見上げている幸村の隣で
昨日干した洗濯物を畳みながらブン太は呆れた声を上げた。

「ったく、いつまで辛気臭い顔で外見てんだよ」
「そんな事を言ったって折角の大型連休だから前半はブン太との旅行、
後半は庭いじりを心行くまで楽しもうと思っていたのに…GW後半に雨が降るなんて
酷すぎるよっ!」
窓の外から目をそらさず返答をして幸村は深く嘆息した。
「庭いじりじゃなくてベランダいじりだろぃ?」というブン太の突っ込みにも
「どちらでも同じだろ」とヒネた声で返してくる。

「旅行中降らなかったんだから良いだろぃ?」
「雨は降らなかったけど、ヒノエ義兄さんと都さんも一緒だっただろう?」
 ブン太とはほとんど2人っきりになれないし、いじられるし安らげなかったよ。
と幸村はなおぶつぶつ文句を言い続けている。

旅行当日まで兄夫婦と合同旅行だと(わざと)伝えていなかった事を根に持って
いるらしい。
それなりに楽しかったし(幸村も楽しんでたみたいだし)
2人っきりの想い出も沢山とはいかないけど出来たのにまだ根に持つとは
呆れるばかりである。

「あのさ。」
「何さ?」
ぶーたれた声で答えを返しながら少し振り返った幸村の
デコに軽くデコピンを食らわし。
「天気が悪いだの庭いじりが出来ないだのどうしようも無い事嘆いてねーで
 俺と2人っきりの時間を楽しもうとかそういう発想に何でお前はなんねぇワケ?」
幸村はしばし振り返った姿のまま鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をして固まった後、
クスクスと笑いながらパタンと倒れてブン太の膝の上に頭を乗せた。

「もしかして、妬いちゃった?庭と天気に」
タチの悪い笑みを浮べてブン太の膝の上から見上げてくる幸村を
「そこに居られると洗濯物畳めねぇんだけど・・・」と睨みながらも
ブン太の頬は薄っすらと朱が挿していて迫力が無い。
「ふふ、そうだね。折角邪魔も入らない事だし…、2人っきりで楽しい時間を過ごそうか?」

その後、雨で切り取られたような静かな部屋に、2人が仲良く戯れる声が1日中響いていた。


###############

【補足(というか蛇足)】
・ヒノエとブン太兄弟設定
・幸ブンは既に大学生
・幸ブンはアパートで一緒に暮らしてます。
・幸ブンは2泊3日ないし3泊4日で帰って来たが兄夫婦まだまだ
 旅行を楽しんでいる設定
・旅行先は熊野を想定

雨が降ってガーデニングが出来ず、残念そうな幸村がポコンした
ために出来上がったもの。
3/5 15:20

「…? 真田に柳じゃないか。俺のクラスに何か様?」
「精市、お前に渡したいものが有ってな。ゴミ捨て当番だったのか?」
「あぁ、そうだけどどうして分かったの?」
「この時間とお前の服にゴミ捨て場にの側に植えられている植物の葉が
 付着しているからな。」
「ふふ、さすがだね。」

「蓮二、その話は今は良いだろう。」
「そうだな。弦一郎。」
「あぁ。幸村、今日はお前の誕生日だろう?つまらないものだがプレゼントを
用意した。良ければ貰ってくれ」
「ありがとう。へぇ…何かな?」
「今年は携帯箸にしてみた。」
「うむ。最近はエコロジーの観点から持っている者も多いというからな」
「落ち着いたデザインだね。うん、気に入ったよありがとう。
是非使わせてもらうよ。」
「これから丸井と帰るのだろう?それでは俺たちはこれで失礼する。」
「ああ、わざわざありがとう。」

################

真田と柳は雁首そろえてやって来て、妙に古風な
日用品を渡していきそうなイメージです。
渡すものは別にしても揃ってやってきそうです。
人によってはちょっとした恐怖です。
しかし、柳と真田が台詞だけで判別出来ない!!
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