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「おかえり、遅かったね…ってどうしたのブン太!?」
「なんでもねぇよ。」
いつもの様にブン太を玄関まで迎えに行くと、
ブン太は玄関の廊下に突っ伏すように倒れていた。
「なんでもない訳が無いだろう?…ってお酒くさいね、飲んだの?」
「おうっ!飲まねぇとやってらんなぜぃ!」
「もう…しょうがないなぁ…。」
ブン太の両脇に手を入れて体を持ち上げ、半ば引きずる
ようにリビングにブン太を移動する。
その間、ブン太はされるがままで鼻歌を歌ってご機嫌な
風を装おうとしているが、その鼻歌は泣き出す直前のように
震えていた。
「あのさぁ…。オレ、今日仕事で失敗しちゃってさ。」
ブン太をソファーに座らせて水でも飲ませようと
キッチンに行こうとした俺の腕をブン太が掴んで、
フローリングに向かい合わせになるように座らせる。
「んで、部長に呼ばれて怒られてさ。今日の事だけじゃなくて
普段の細かいこともいっぱい言われて。これまで自分なりに
全力で頑張ってたつもりだったのに、全然伝わって無かった
のかよって…」
その瞬間に瞳から零れ落ちた滴を見せたくないと言うように
ブン太は俺の左肩に頭を預けた。
服の左肩が熱い涙で少しずつ濡れていくのを感じて思わず
左手をそっとブン太の頭に添えて軽く髪を梳くように
頭を撫でた。
「わかってるよ。きっとみんなブン太が頑張っていること、
わかってるよ。少なくとも俺はブン太が頑張ってること、
わかってる。」
だから元気を出して…そう続けて囁く代わりに、俺はブン太
右の手をブン太の背中に回してぎゅっと抱きしめた。