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「いってらっしゃい。」
その言葉と共に額に降って来たくちづけに
不覚にも一瞬固まってしまったが、
すぐさま鳩尾に拳をお見舞いしてやると目の前の男は
『ぐふぅ!』と奇妙な声を上げるとその場に蹲ってしまった。
まぁ、ほぼ反射で加減なく人体の急所を殴ったから相当痛いだろう。
「ペットのくせにバカな事すんじゃねぇ!」
自業自得だっ!と哀れっぽい目で蹲ったまま見上げてくる
幸村を怒鳴りつけると、生意気な事に反論してくる。
「仕事に向かうご主人様へのペットからの頑張ってね、
っていう精一杯の愛情表現だよ。」
「は?フツーのペットはやんねぇよ!
いってらっしゃいのキスなんてデコでもやるのは、
カップルか新婚さんって相場は決まってんだよ!」
「あ、ブン太。彼女にいってらっしゃいのキス
今までしてもらったことない?もしかして夢だった?
ブン太の初めて頂いちゃって悪かったね。」
「ぜってー、悪いと思ってないだろぃ!」
そんなことを話している間もニヤニヤした顔を
している幸村にイラっとして幸村の頭目掛けて思いっきり
チョップを振り下ろしてやった。
「痛っ!」
「ふん、一生痛がってろ、いってきます!」
コイツに付き合ってたらいい加減仕事に遅れる!
とばかりに言い捨てて家を飛び出した。
閉じる直前に扉の向こうから再び「いってらっしゃい」
という声が聞こえた瞬間…ふと、朝、こんな風に送り出して
くれる人がいるっていいなと思わず思ってしまった自分に
また腹を立て、帰ったら絶対幸村に八つ当たりをしてやろう。
と心に誓うのだった。
by 私から貴方への10の言葉 1.いってらっしゃい COUNT TEN.