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「ただいま。」
疲れた体を引きずるように自宅に入った途端に
ブン太は違和感を感じて顔を上げた。
「…幸村?」
いつも鍵をあけると『おかえり』という言葉と共に
出迎えにくるペットが今日は珍しく目の前にいない、
それどころか家は火が消えた様に真っ暗で人の気配がしない。
「幸村ぁ?寝てんのか?」
疲れさえも忘れて慌てて靴を脱ぎ、リビングの扉を開けるが
明かりの消えた部屋からは返事は無くてブン太の心に嫌な予感が
過った。
「幸村!」
駆け出す様に幸村に与えた寝室の方へ駆け出したブン太が、
ダイニングテーブルの上に置かれた一通の手紙…ペットからの
"さよなら"の証に気付くのは数分が過ぎた後だった。
by 僕から君への10の言葉 10.さよなら COUNT TEN.