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「なぁ、俺がいなくなるって言ったらどうする?」
「へ?ふぁに?」
唐突に切り出したオレの言葉に口に素麺を加えたまま、
またかという顔でオレを睨む。
「行儀悪いよ、ブン太。」
「…お前がまた変な事言うからだろ。」
つるりと素麺を啜った後にビシッと箸で人を指してくる
ブン太に苦笑をする。
「箸で人を指すのもマナー違反だよ。それは俺のせいじゃない。」
「くっ…。ってか、さっきのセリフ。またかよ。
いつも聞いてくるけど出ていく予定でもある訳?」
「嘘だよ。そんな予定はないから。聞いてみただけ。」
はぁ…。拾われてペットになってから何度も繰り返した
やり取りにブン太は飽きた様にため息を吐く。
「行くところも無いんだろぃ?バカな事言ってないで
箸動かせ。温くなる。」
そう言って再び食事に意識を戻したブン太に後ろめたさを
隠すための笑みを浮かべる。
この質問をする度に答えてくれるブン太はここが俺の"帰る家"
、他の場所は帰る事を前提とした"行く"場所だと。
ここに俺が居る事を当然だと言ってくれるから。
俺はここに…ブン太の傍に居ていいのだと確かめたくて
何度も何度も尋ねてしまう。
その度に呆れながらも俺の望む答えを返してくれる大切な
ご主人様に俺もその度に心の中で呟くんだ。
『ごめんね…ありがとう。』
by 僕から君への10の言葉 3.嘘だよ COUNT TEN.