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どす…と膝から力が抜けてフローリングの床に尻もちを
 ついた。先ほど思わず取り落してしまったペットからの初めて
 の手紙を、倒れそうになる体を支える為についた手がぐしゃりと
 潰してしまった事さえ構う余裕が無いほどブン太は混乱していた。

 「ウソだろ…。」
  確かに昨日の幸村はどこか元気が無くて…それでいていつも以上
  にひっついてきておかしいとは思っていたけど…。
 「こういう事かよ…。つーか、幸村って名字だったのかよ。
  精市って…初めてフルネーム知ったぜぃ…。」
  ははっ。乾いた笑いを漏らして行き場の無い衝動を散らすように
  前髪を掻き揚げる。
 「オレ、幸村の事なんも知らなかったんだな…あんなに一緒に居た
  のにさ…ダセェ…。」
  頬を熱い滴が伝う感触に思わず、両の掌で瞳を覆った。
  支える手を失った体は重力に従って床へと倒れ込む。その際に
  頭を強打したが身体に感じる痛みよりも心の痛みの方が激烈で…。

  前はこんなに簡単に泣く事なんて無かった。いくら厳しい状況でも「天才的ぃ?」なんて余裕を決め込んで  
  乗り越えて来たのに。
  幸村に会ってから幸村が甘やかしてくれるから、手放しで泣ける場所が出来て、泣くのを我慢しなくなって
  途端に涙腺が弱くなって心まで弱くなった。

 「責任取れよ、幸村のヤロー!っていうかいなくなる予定ねぇって
  言ってただろぃ!嘘吐き!!」
  抑えきれない感情の波をブン太は一人乗り越えるため、拭う人
  のいない涙を一晩中流し続けた。

                       by 私から貴方への10の言葉 3.嘘吐き COUNT TEN.

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