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あのブン太姫生誕パーティーの後、
すぐに弦一郎王は勅令を出し、国中の糸車を焼き、
ブン太姫の1年後にこれまたどこからやって来たのか
赤也という王子を授かり、平穏月日過ぎていきました。
あの悪夢のパーティーから15年。
ブン太姫はすくすくと成長し、紅い髪も艶やかで
薔薇のように染まる頬と美しい歌声を持つ、
大変美しく愛らしい姫君へと成長しました。
…がっ!
パーティーの際に仁王から淑やかなレディーになれる魔法を
授かりそびれたせいか、はたまた乾汁EXの副作用か、
それはもう愛らしいブン太姫の性格は
大変男前になっていたのです!!
15歳を迎えるこの日もブン太姫は元気に
弟の赤也王子にイタズラを仕掛けていました。
バン!!
「がふぅ!」
今日も今日とて妖精ジャッカルを
を捕まえて遊んでいた赤也王子の後頭部に
飛んできたテニスボールが
木の枝一旦当たってから角度をつけてヒットします。
「妙技 木の枝当て!」
ボールをぶつけた犯人・ブン太姫は「天才的ぃ?」と
得意気に爆笑しています。
「お、おい。赤也王子大丈夫か!?」
「…潰すよ?」
「あははは!…って、げっ!赤目になってやがる!やべぇ!」
「待ちやがれこの、姉上が!!」
と城名物の追いかけっこが始まりました。
「…はぁはぁ、赤也のヤツ…年々足早くなってねぇか?
ま、俺の天才的走りなら追いつかれねぇけどな!」
赤也王子を撒くために走り続けたブン太姫は気が付くと
足を踏み入れた事のない城の裏手に広がる林に来てしまいました。
「こんなとこまで初めて来たけどなんつーか、不気味なトコだぜぃ…。」
ブン太姫が辺りを見回すと鬱蒼と茂る木々の間に
木造の小さな小屋が立ち、烏の鳴き声が聞こえて不吉な予感を掻き立てます。
その時でした。
「姉上ぇ!どこ行きやがった!!」
近くからブン太姫を捜す赤也王子の怒声が聞こえてきました。
「結構近いな…どうするかな…」
ブン太姫は少し考えると先程目についた小屋に隠れて
赤也王子が去るのを待つ作戦に出ました。
音を立てないように小屋の中に身体を滑り込ませると
そこは薄暗く、壁の板と板の間から薄日が差して
中の様子がぼんやりと見えるだけでした。
「全く埃っぽいったらないぜ…城の中にこんな場所有ったんだな…ん?」
そう一人ごちている間に暗さに目が慣れてきたブン太姫はあるものを
見つけました。
台の上、右の方に馬車の車輪のような輪がついている
木製の機械…そう、弦一郎王が国中の物は全て
燃やさせたはずの糸車が小屋の真ん中にぽつんと
置いてあったのです。
「…なんだこれ?」
生まれて初めて見る糸車をブン太姫は不思議に思い、
吸い寄せられる様に近付き、ブン太姫は手を伸ばして
糸車の針に触れてしまったのです。
次の瞬間…チクッと刺さる針の痛みと共に、
ブン太姫の口を苦味を通り越して痛いような…なんとも言えぬ味。
そう!乾汁EXの味が襲いました!
「ぐわぁ!何…これ…マズ…」
そう呟くとブン太姫は口を押さえるような姿勢で
床に倒れ込んでしまいました。
その後、赤目化してブン太姫を追いかけていた赤也王子とジャッカルが
小屋の中で倒れ、死んだように眠っているブン太姫とその側に
あった糸車を発見し、大騒ぎとなりました。
15年前に宣告された乾汁EXの副作用が本当の事となり、
王様や王妃様だけでなく国中の皆が愛らしい姫に起こった悲劇に
歎き哀しみました。
それを見ていた妖精の仁王は柳生とジャッカルに協力して貰い、
ブン太姫がいつ目覚めても一人で寂しくないように…
と城の人々に魔法をかけ、ブン太姫が目覚めるまで城全体を眠らせました…。
+++++++++
あれ?原作とディ●ニーと創作が混ざってる!!!
でも、気にすんな、な!
「どう?見える?」
サンダルを突っかけてベランダから身を乗り出すように夜空を眺める
ブン太の隣に並ぶと、
昼間の熱気を残した生暖かい風が通り抜けた。
毎年深夜この時期に流れるというペルセウス流星群が
今日流れることをライブのMCで知ってから
赤毛の彼は星空を眺めることに必死だ。
「ん~。何個か流れてるぜ…多分。」
「どれ?…あ、今流れたね。」
「え!マジかよ!?見逃した!!」
「フフッ、大丈夫だよ。まだ1番流れる時間は
これからなんだから、ね?」
「ま、そうだな!どこら辺に流れてるんだ?」
「空全体に流れるらしいよ。さっき俺が見たのはあっちの方…
ほら!流れた。」
「本当だ!!流れてるじゃん!!すげぇ!!」
今までの不機嫌そうな表情から一転して瞳をキラキラと
輝かせるブン太に顔が綻ぶ。
「よかったね。願い事は出来たのかい?」
「へ?」
こちらを向いたキョトンとした瞳が”何が?”と物語っていて俺はさらに
笑みを深める。
「流れ星に願いごとを三回言うと叶うって言うだろう?」
首をかしげてやると”あっ”という表情をした後、
悔しそうに顔を歪める。
「忘れてた…。って俺のことはいいから!!お前は一体何お願いしたんだよ!?」
「俺か?俺は”来年もまたブン太と一緒にペルセウス流星群を見られますように”
って祈ったよ」
そういってブン太の手を握ると、ブン太は頬を染めた後ニヤリと笑う。
「来年だけで良いのかよ?」
「え?」
「俺は来年も再来年もこれからも一緒に見られますようにってお願いするぜぃ!!」
幸村は来年だけでいい?そう笑うブン太にからかうつもりが
いつの間にか立場が逆転していることに照れくささを覚えて
頬が染まるのを感じ、照れ隠しにブン太に囁いた。
「…俺も、ずっと同じ空を一緒に見れるように祈るよ」
星にではなく、ブン太に誓うように俺はブン太の手を握り
指を絡めた・・・。