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思い付いたネタのたまり場。
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明日は休日じゃからか、部室に残っとるレギュラーメンバーも
どこか浮き足立ってる中、吸い寄せられる視線…。

「なぁなぁ、幸村ぁ~。明日休みだしさ!ちょっと遠回りして
 紫芋ソフト喰いにいかねぇ?」
「いいけど…遠回りってこの前”チョココロッケ売ってる店見つけたぜぃ!”
 とか言って食べに行ったばっかりじゃない。大丈夫なの?」
「大丈夫!大丈夫だからさ!なぁ、いーだろぃ。幸村~~」
「ふふっ、しょうがないなぁ」

そう、局地的に甘々~な空気が駄々漏れな所にワシの視線は
釘付けじゃ!
この2人のいちゃつきっぷりは今更じゃから、他の誰も気にしとりゃせんし、
ワシがこのバカップルを見とる理由もそれじゃない。

「……仁王。さっきから俺たちのこと凝視してる様だけど、
 どうかしたのかい?」

おぉ、我らが部長様。いちゃつきながらも周りの様子に気を配る
何て流石じゃのう。(一方のブンちゃんは見られとったことにビックリしとる
ちゅーのに。)

「いやのぉ~。前から気になっとんたんじゃが、
幸村はブンちゃんのことを”ブン太”って呼んどるのに、
どうしてブンちゃんは幸村のことを”幸村”ってよんどるんじゃ?」

ワシの長年(つーほどでもないが)の疑問に
ブンちゃんは訳が分からんちゅー顔をしとる。

「どうしてって”幸村”は”幸村”だからに決まってるだろぃ!!
 仁王だって”幸村”って呼んでんじゃん。」
「いや、そうじゃのーて。おまんら付き合っとるんじゃろ?
 いわゆる 彼氏彼女ってやつじゃろ?」

「彼氏彼氏っスけどね」
「じゃかぁしいわ!!外野!!」
 ちゃちゃを入れてきた赤也に喝(?)を入れると
 向こう側で「柳せんぱーい!仁王先輩がひどいんすよ~~!!」
 と”おかん”に泣きつく姿に苦笑いをしていると、
 静かな声に意識を引き戻される。

「それで結局 何が言いたいんだい?」
「そうじゃ、そうじゃ!幸村はブンちゃんの事を”ブン太”って下の名前で
 呼んどるのに、ブンちゃんはどうして幸村のことを下の名前で呼ばんのじゃ?
 ”せーいちぃ~~~”とかな?」
「………………お前に呼ばれても嬉しくないよ、仁王。」
 心底嫌そうな顔で呟く幸村に「ヒドイのぉ、せーいちは~。」と
 しなを作ると幸村だけじゃなくブンちゃんにも睨まれてしもうた…。

「コホンッ…それは、置いといてじゃな…。どうなんじゃ?」
 ブンちゃん?と気を取り直して聞き直しじゃ!

「だってよー。将来的に俺と幸村が籍入れたらさ”丸井精市”になる
 訳だろぃ、幸村は。
 ”精市”って呼ぶのは籍入れてからも何十年と呼べるけど、
 幸村のこと”幸村”って呼べんのは今だけだし!!」

 腰に手を当てて言い切るブンちゃんの姿にドドーンっという効果音が
 聞こえたような気がする…。
 …お、男前じゃ…。よぅ言うとる理論は分からんが男前じゃ…。

「……ブン太…
 妙に男前に幸村との結婚を前提としたお付き合いを宣言した
 ブンちゃんに、その姿にうっとりする幸村に
「…そうかぃ…」と半ば呆れるしかなかった。


&&&&&&&&&&&&&&&


幸ブンだよ!

①日本で男同士が結婚しようとする場合、
 どちらかがどちらかを養子縁組するという方法が採られる。

②養子縁組は年上の戸籍に年下の人が入る。
 年上の人が年下の人の養子にはなれない。

=幸ブンが国内で結婚するとしたら、
 幸村(3月5日:早生まれ)がブン太(4月20日生まれ)の戸籍に入る。
 つまり、ブン太が「幸村ブン太」になるのではなく幸村が「丸井精市」になる…。

ということを知ってつらつら書いた文。
特に意味はない。本当の意味でのやおいです(笑)

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「じゃあ、幸村。最後施錠頼むな」
「はい、お疲れ様です。」
 どやどやと賑やかに帰っていく先輩達を笑顔で見送って
 ベンチに深く息を吐きながらベンチに座り込む。
 あの日からまだ2週間。
 正直、ブン太が隣に居ないことがこんなに堪えられないことだなんて…。
 以前の俺はさぞかしビックリすることだろう。

モラトリアムの終焉―終章②―


用事もないけれど、帰る気にならなくて部室のベンチに座って
今にも泣き出しそうな空を眺めていた。
「まるで今の俺みたい…なんてね…」
 そう呟いて目を伏せた瞬間。
 キィィっと遠慮がちに部室の扉が開く音が聞こえて
 視線を上げると中をうかがうようにドアを開けたブン太と目があった。

「……な、何だ~幸村くんかぁ。び、ビックリしたぜぃ!」
 目が合った瞬間、ビクリと固まった後、ブン太は不自然なまでの
 明るい声で話しかける。
 久しぶりに間近で聞くブン太の声に懐かしさや嬉しさ…切なさの混じった
 ような胸の高鳴りを覚えて「あ、ごめん」と泣き出しそうな笑顔で答えることで
 精一杯だ。

ブン太はそれにまたビクリと反応して、俺から視線を外し、早口に喋り始める。

「俺さーカバン忘れちゃってさ~」
 …ねぇ、何で俺から視線を外すの…?

「明日提出の宿題あんのにさ、バッカだよな~」
 …そんな一線引いたような喋り方しないで…。

「お、あったあった!じゃぁな!幸村くん!雨降りそうだからお前も早く帰れよ!」
 …俺を置いていかないでくれ…っっ!!

バタン!!
気付いた時にはドアノブに伸びたブン太の手を掴んで
引き寄せていた…。

「な、何だよっっ!!幸村くん!!離せよ!!」
 抱きしめる俺の腕から逃れようと暴れるブン太を逃さないよう
 腕の力を強めてその首筋に顔を埋める。
「俺の側に居ろよ…。」
 そう囁くと今までもがいていたブン太がピタリと静かになった。

「…好きなんだ、ブン太。今更かもしれないけれど、側に居て欲しい。」
「本当に今更だよ…。俺のことそういう風には見れないって言ったクセに…っ
 何で今更そんな事言うんだよ!!」
ドンッと俺の胸を強く押しての腕から逃れてブン太が叫ぶ。
その頬に雫が伝うと同時に、窓ガラスにポツリポツリと雨粒が降ってくる。

「本当にごめん…。でもやっと分かった、俺にはブン太が居ないとダメなんだ。」
 涙で潤んだ瞳でキッとこちらを睨んでいる紅い瞳を見据えて宣言する。
「何で……そんな風に見られないって言われて俺…お前のこと諦めようと思って…
 でも諦められなくて……苦しかったのに……」
 幸村くんのバカヤロー!!そう叫んで下を向いてしまったブン太に
 ゆっくりと近付いてその背中にゆっくりと腕を回すと、今度は大人しく腕の中に
 収まった。

「こんな俺だけど、側にいてくれる?」
 もう一度、そう尋ねるとキュッと俺の制服のシャツを握り締めて
 涙で濡れた顔をグリグリと胸に押し付けてながら
「離れろっつっても離れてやんねーからな」
と小さな声が返ってくる。

「もちろん。離れたいって言っても離してやらないよ。」
 外は雨。雨音で切り取られたような2人の空間で俺たちは
 長い間、久しぶりにお互いの存在を感じあっていた。




モラトリアムの終焉。それは現状の破壊…そして新しい関係の第一歩。



#######################

別人ーーーー!!
別人注意報ーーーーーー!!!

読み直してみると超恥ずかしいッス!!

ちなみにブン太が視線を外したりした理由は幸村の泣き笑いのような
表情を見て幸村が好きだって想いが溢れ出しそうになって慌てた…
というのが真相です…ってどうでもいいですね!!

その後ふたりがどうなったかとかはご想像にお任せします!!ってことで!

俺の思いが地面に落ちた雨粒のように散ってからからもう二週間…。


「おら!バカ也!!いい加減貸したゲーム返しやがれぃ!」
「ま、まだクリアしてないっすよ!!」
「おい、お前らいい加減にしろよ!」
俺は結構上手く通常通り元気を装ってる…。
それまでと違うのは幸村くんの傍に俺が居ない事だけ……。


そう、まだ俺は幸村くんを避け続けてる。
俺はまだ幸村くんの事を諦めきれなくて……大好きで大好きで幸村くんの事を見るだけで心が膿むように痛いから……見ないように、痛く無いように元気という鎧で武装した。


でも、どれだけ俺が避け続けても、俺が幸村くんを意識し続けてても幸村くんはいつもと変わらない。凛とした姿でコートに立つ。
―――それが何だか悔しい。

「―い!おい!丸井。ぼーっとしてっと落ちるぞ。」
「? あれ部活は?何で俺、ジャッカルと2ケツしてんの?」
「何言ってんだお前。部活なんてとっくの昔に終わったぞ。それに当然のように後ろ座ってきたのはお前だろ?」
「マジ!?」
考え事してたから全然覚えてねぇ……!
さすがにヤバすぎないか?俺。
うわぁーって心の中で叫びながら両手で頭を抱えた。……両手で……。
あれ?俺何で両手使えてるんだ?カバンは…?


「あーっ!!カバン忘れてるじゃんか!」
急に大声出すなよ!と自転車を止めたジャッカルに、
「何で気付かねーんだよジャッカル!」
と理不尽な八つ当たりをしてから「取りに行くから先帰ってろ!」と自転車から飛び降りて走り出す。

部室に向かって一直線。空には俺の心を映したような今にも泣き出しそうな雲が立ち込めていた。

〆〆〆〆〆〆〆〆

書き直したい……。
三部作でなく四部作になりました(笑)
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