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思い付いたネタのたまり場。
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キミが生まれた特別な日だから…
16歳になるキミを祝えるこの日は一生に一度しかないから…
どうか最高の笑顔と共に記憶に残して欲しい。

 

キミの笑顔が見たいから


「はい、これ。誕生日おめでとう。」
「おっ、もしかしてプレゼントかっ!?」
サンキュー!と俺の渡した両手で持てる位の大きさの
紙袋の中を覗きこんで
おーっ。と声を上げた後、予想通り不思議そうな顔
で俺を伺ってくる。
「白くて可愛い花だけどよ、お前の花壇でも見たことないんだけど。
 これ何の花?」
ガサガサと花の入った植木鉢を取り出して色々な角度から
眺めているブン太に『可愛いなぁ』と自然と微笑が零れた。
「ふふっ、ブン太が大好きなものによく使われてるものだよ。」
「へっ?俺の好きなもんに?何だ?思いつかねぇ!良いから早く教えろぃ!」
ブン太は分からない事が落ち着かないのか答えを急かしてくる。
「分かったよ。それはイチゴの花だよ。イチゴの苗。」
答えを教えてやると、きょとん。と固まっている。

「イチゴって…あの果物の?」
「ああ」
「生るの?この花から?」
「そう。この花が散って実が生るんだよ。」
へー。と関心した声をあげてブン太はさらにしげしげと見始めた。
「誕生日プレゼントは自分で考えろって言われて
 お前に喜んで貰おうと考えたんだけど…。
 結局、今年は無理だろうけど来年…いや、これからずっとこの
 苺を使ってブン太が作ったケーキを一緒に食べたいな…という俺の
 希望を込めたものになってしまって…。」
すまない。そう、謝った俺にブン太が勢い良く、デコピンを喰らわせてきた。
「何謝ってんだよ!!ずっと一緒に居てくれって事だろぃ?
 俺、すっげぇ嬉しいんだぞ!」
左手を腰に当てて、右手でビシッ!っと俺を指差してブン太が
言い放つ。
「そうなの?」
「そうなの!それにさ…。」
自信満々な様子から少し躊躇ってから決意した様に口を開いた。
「オレがお前にノーヒントって言ったのはさ、理由があんだよ。
 何ていうかそういう事を言えば、少なくとも誕生日まで
 お前はオレの事テニスやってる時以外は考えてくれるかなー。
 って思ってよ。だから、オレの事を考えてお前が選んでくれた
 プレゼントだからすっげぇ嬉しいんだ。」
そう言って照れたように微笑んだブン太を見て思い出す。
中学時代の俺はテニスや病気の事に一生懸命で、こんなに
ブン太の事だけを考えたのは初めてだという事に。
それに気付かされて、余裕が無かったあの頃を恥じると共に、
自分でも気付いていなかった俺に気付いてくれていた
ブン太に愛しさがこみ上げてくる。

「ブン太…大好きだよ。生まれてきてありがとう。」
そう言って抱き締めた腕の中でブン太が浮かべた
笑みは俺が見たくて見たくてたまらなかった、
ブン太の心からの笑みだった。

####

急ぎで書いたので、乱文になってしまいましたが、
ブン太誕生日おめでとう!!!
自分のためにその人が自分の事を考えてくれた時間、それが
何よりも大切なプレゼントだよ。って話。

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「なぁ、どうすれば良いと思う?」
部活終了後、用があるからとブン太に先に帰って貰い、
残った男テニ部室。
先輩方も帰られて下校する生徒の疲れたような話声が
遠くに聞こえる部屋には俺と、テーブルを挟んだ正面に
俺に呼び止められた柳とその隣りに柳と一緒に帰宅予定の
真田が顔を揃えていた。


キミの笑顔が見たいから~1日前~


「どうすれば…とは。大方明日に迫ったブン太の誕生日プレゼントを
何にすべきか、と言ったところか?」
「さすが話が早いね。」
向かって左に座っている蓮二は俺の一言に対して素早く的確な答えを
返してくれる。さすが、立海の参謀だ。
「丸井へのプレゼントか。丸井のことだから菓子でも贈れば、
大喜びするのではないのか?」
「真田…」
「弦一郎…」
呆れた2組の目に見つめられて真田は落ち着かない様子だ。
「な、何かまずい事を言ったか?」
「ああ、大丈夫だよ。真田のアドバイスはそんな感じじゃないかと覚悟していたから。」
「弦一郎…。恋人へのプレゼントがそれでは流石にまずいだろう。
 それに普段から精市はブン太に良く菓子をあげているから、それでは普段と変わらない。」
真田は「う…うむ。」と言葉に詰まり沈黙した。どうやら、自分はこの手の
相談に向かないと悟り早々に傍観を決め込んだらしい。
正しい判断だ。

「そうなんだ。普段とは違ったものでブン太が喜ぶものをあげたいんだ。
 去年はちょうど俺は入院をしていて祝ってあげる事が満足に出来なかったし…。
 あの頃の俺はアイツに随分無理な笑顔をさせていたからね。」
「精市…」
「だから、今年は心からのブン太の笑顔が見たいんだよ。」
俺を元気付けようと無理に笑顔を作っていたあの頃のブン太を思い出して
少し苦味を混ぜた笑顔を浮かべると、普段表情の読めない柳が
顔に心配な表情を覗かせた。
「お前の気持ちは分かった。だが、やはりこれはお前自身が考えて決めた方がいいだろう。」
「…そうか。」
「ただ一つアドバイス出来るとしたら、プレゼントに自分の想いだけでなく願いや望みを込める…
というのもプレゼントを選ぶ際に有効な手段ではないかと俺は思うぞ。」
まぁ、良く考える事だな。そう言って柳は真田を促して帰っていった。

「願いを込めるか…」
夕日の差し込む部室にぽつりと一人、柳の残していった言葉を思い返していた。

 昼休み特有の少し浮き立ったような騒がしさの廊下を抜けて、
いつもの屋上の扉を開けるとまだ仁王と柳生が2人がベンチに座っているだけだった。

キミの笑顔が見たいから~2日前~

「よう、幸村。早かったのぅ。」
ベンチの上に胡坐をかいてすっかりくつろいだ様子の
仁王が軽く片手を上げて挨拶するのに同じく軽く手を上げて
応えた。
「ああ。少し授業が早く終ったからね。他のみんなは?」
「まだの様ですね。3組は確か今日生物の実験だと柳くんが言って
いたので、柳くんと丸井くんは遅くなるでしょうね。」
仁王の右隣りに折り目正しく座っている柳生が俺の疑問に的確に答えてくれる。

「そうなんだ。…ふふっ、しかし相変らずお前達2人は対照的だな。
どうして付き合ってるのか不思議だよ。」
仁王の斜め左の床に座って弁当の包みを開きながら言うと、
柳生がさも可笑しそうに笑った。
「それを言うならば貴方と丸井くんも人の事は言えないでしょう。」
ですよね?と同意を求める柳生に応えて「そうじゃ、そうじゃ」
と仁王まで相槌を打っている。
「そうかな?お似合いだろう?」
俺とブン太は。そう首を傾げると仁王がやってられんわとでも言いたげに
顔の横でヒラヒラと右手を横に振った。
「そういや、ブン太と言えばもうすぐアイツの誕生日じゃけど、プレゼント
はもう用意したんか?」
ぽんっ!っと思い出した様に聞いてきた仁王の言葉に一瞬忘れて
いた懸案事項を思い出した。
「う~ん。それなんだよね。良いものが思い浮かばなくて…。」
「なんじゃ、それだったらお約束なアレが一番良いじゃろ。」
「アレ?」
イタズラを思いついた様な顔をする仁王を胡散臭げに聞き返すと、
返って来た答えは案の定…なモノだった。


「プレゼントはお・れってやつじゃ」

「へぇ…。勧めてくれるって事は仁王が試して大成功だったって事なのかな?」
「おぅよ。去年試したんじゃが、そりゃぁ比呂士も大喜びで…ぐっ!…痛いじゃろ。」
ふざけてニヤニヤ喋る仁王に柳生がサイドからわき腹に拳を喰らわせた。
紳士らしからぬ荒々しい動作だが、逆光眼鏡のせいで表情は読めない。
「仁王くん。幸村くんは真剣に考えているのですから、ふざけるのはお止めなさい。
幸村くん、お役に立てずにすみません。でも、丸井くんなら幸村くんが心を
込めて送ったものならば何でも喜んでくださると思いますよ」
ニッコリと微笑みを向けられた台詞に笑顔で
「あぁ、ありがとう」と答えた瞬間に
豪快に開く屋上の扉が開いて「腹減ったー!!」という
赤髪の彼の元気な声が空に溶けた。

####

またしても、解決策を得られなかった幸村氏。
仁王と幸村は揃うと腹探り合戦っぽい穏やかならざる雰囲気を
醸し出しそうなイメージ。

「幸村ぶちょー!!」
「あっ、おい!赤也!急に走るなよ!」


キミの笑顔が見たいから~3日前~

 入学して2週間ほどしか経っていないけれど、
度々訪れていたために、歩きなれた渡り廊下を歩いて
いると、中等部テニス部の現部長・赤也とそれを追いかける
ジャッカルが駆け寄ってくるのが見えた。

「やぁ、赤也じゃないか久しぶりだね。そうか…今日は中等部との
合同練習の日だったっけ?」 
「そうっすよー。部長たちが卒業してから部内で練習試合しても
手応えなくって困ってるんすよ~だから、今日久々に手合わせ
出来るの楽しみにしてたんす!」
「おい、赤也。今の中等部部長はお前だろ。」
嬉々として喋る赤也の隣りでジャッカルが呆れた顔で
つっこみを入れる。
「いけね!」
「ふふっ、そうだよ。俺たちは高等部では一年生なんだからね。」
そんなにすぐには変わらないと思いつつも、
この雰囲気が変わっていない事に安堵と少しの気恥ずかしさを
感じて苦笑を浮かべてると同じような表情をしたジャッカルと目があった。

「そういや、悪かったな。幸村。」
「え?何がだい?」
「何か考え事してる風だったから声かけるのよそうと
思ったんだけど赤也のヤツが止めるのも聞かずに
走っちまったからな。」
えっ?!なんっすか!俺のせい?!と抗議の声を
上げた赤也を宥め始めたジャッカルをじーっと
見つめて、俺は声がかけ辛いほど考え事をしていたのだろうか?
と驚いた。
考えていた事と言ったら3日後に迫ったブン太の誕生日
に何をあげよう?という事くらいだ。

「なぁ…ジャッカルも赤也もブン太と仲良かったよな?」
「ん~まぁ、そっすね!どっちかっつーと良いっすよ?」
「そうだな。俺はダブルス組んでる位だからな。」
あ、でも誤解すんなよ!ただの友達だからな!と気を使って
必死に否定しているジャッカルに「分かってるよ」
と笑みを返して話を続けた。

「もうすぐブン太の誕生日だろう?プレゼントをあげたいんだけど、
何をあげるか良いモノが思い浮かばないんだ。何かブン太が
喜びそうなものに心当たりはないかい?」 
「そういうのは丸井先輩本人に聞くのが一番確実じゃないんすか?」
「聞きはしたんだけど、ノーヒントだって言われてしまってね。」
「そっすねー。丸井先輩が喜びそうなものって言うと食べ物とかゲームっすかね?」
「それはなんかちげーだろ。第一幸村の言うプレゼントと赤也の言ってるプレゼント
はちょっとニュアンス違うだろ。」
「そうだね。」
「でも、他には思い浮ばないっすよ!じゃあ、ジャッカル先輩は他に何かあるんすか?」
「いや、思い浮かばねーな。すまない幸村、あんま役に立てなくてよ。」
申し訳無さそうにジャッカルはチャームポイントのスキンヘッドを掻いた。
「いいや、ありがとう。俺こそ突然こんな事聞いてすまなかった。」
じゃあ、そろそろ行こうか。そう声をかけてみんなの待つテニスコートへと向かった。
テニス用品?おもちゃ?それともお菓子?
一体何をあげればお前を喜ばせられるんだろう。 


キミの笑顔が見たいから~4日前~


「はぁ?欲しいモン?」
「そう、欲しいもの。もうすぐお前の誕生日だろ?何か欲しい物ないか?」
プレゼントの参考に聞かせてよ。
そう言って右を歩くブン太の様子をうかがうと、
ブン太はニヤリと笑ってビシッと俺を指差してこう宣言した。



「恋人ならノーヒント!自分で考えろぃ!」



誕生日まであと4日。
俺の楽しく悩ましい日々の始まり。
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