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「んで?何じゃ、相談したい事って」
 某有名なコーヒーショップのロゴの入ったカップを
 もてあそびながら聞いてくる仁王にオレは
 『コイツはこんな姿も様になりやがる』と内心呟きながら切り出した。


「あのさ、仁王はバレンタインどうしてる?」
「どうしとるって…」
「だから、仁王は柳生に何してやってんの?バレンタインに。」
オレの質問に要領を得ない様子の仁王に重ねて言うと、
「ああ」と納得したような声を出す。

「いや、普通に会うてチョコ渡しちょるよ」
 だから今日もこの後会う予定だから手短にしてくれると
 嬉しいのう…と呟く仁王の荷物には小さな洋菓子店の
 紙袋が混ざっている。
「しかし、ブンちゃんもいつもそうしとるんじゃろ?」
 不思議そうに尋ねてくる仁王にオレは首を横に振った。
「いいや」
「はぁ?じゃあいつもどうしとるんじゃ?」
「毎年、オレが幸村からチョコ貰ってんの。」
 そう言い放った瞬間、仁王は呆れた顔をしてカップを
 ソーサーの上にそっと置いた。
「中学・高校ん頃に何度か幸村がブンちゃんにチョコ
 あげてるところを見たことは有るが…毎年だったんじゃのぅ」
「悪いか?」
「別に悪いとは言っておらんじゃろ。しかし、今年に限ってワシに
相談事とはどういう風の吹き回しじゃ?」
 ニヤリと既に何か感づいた顔で意地悪気に聞いてくるのに
 分かってるくせに嫌なヤツと眉を寄せた。

「社会人になって初めてのバレンタインだし、いい機会だから
今年はオレから何かしてやりたいって思うんだけどさ。
今更何をやりゃいいんだか分からねぇんだよ。」
どんなチョコ選んで良いかも分からねぇ~。とテーブルの上に
突っ伏したオレの頭がポンポンと叩かれて上から仁王の声が降ってくる。
「悩むことは悪い事じゃなかよ。こういうプレゼントっちゅーもんは
誕生日じゃろうとバレンタインじゃろうと同じじゃ。
相手の事を考えて自分の出来る範囲で今最良だと思うもんを
渡せばいいんじゃよ。」

『俺はね、ブン太が美味しいって食べてる姿を見るだけで幸せな気分に
 なれるんだよ』

仁王の言葉を理解した瞬間、脳裏に浮んできた幸村の声に
オレはハッと顔を上げた。

「どうしたブンちゃん」
「…仁王、サンキュ。何かオレ掴んだかも…」
そう言ったオレに仁王は「構わんよ。」と口元にいつもの皮肉気な
ものではない、微笑を浮べて再びコーヒーを啜った。


【余談】
 「そういや仁王、柳生との約束の時間大丈夫か?」
 「あぁ、そろそろ行かないと間に合わんな。
  そういや、ブンちゃんは幸村とどっか行く予定とかないんか?」
 「幸村、今日休出なんだとよ。運悪いよなー(笑)」

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高島屋の上でチョコ見た後にちょっとポコンした話。
続きます。  
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