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夢うつつに感じる髪を掬う指の動きに、頭に感じる掌のぬくもりに…
とても幸せな気分になり口元が緩んで行くのを感じる。
目を開けなくても分かる、これは幸村の手だ。
優しい…優しい…とても安心出来る体温。
満ち足りた気持ちのまま、覚醒しかけていた意識がまた深く
沈んで行くのを感じた。

###############

「んで…どんな状況だこれは…」
おぼろげながら覚えている記憶と、現在の状況を鑑みるに
少し前まで確実に甘々~な雰囲気だったんだろうなー。と
簡単に想像がついてしまい、紅く染まる頬を照れ隠しに一つ掻いた。
「どうするかなー。」
小声で呟き、頭を動かさない様に目線だけを上に向けると
オレの頭に手を置いたまま、目を閉じ浅い寝息を立てている幸村
が目に入ってくる。

幸村がネクタイを緩めただけのスーツ姿な所を見ると、
帰宅して早々、テレビを見ている間に眠りこけてしまったオレを
発見して頭を撫でているうちに自分もつられて眠ってしまった…
というところだろう。
犬猫じゃあるまいし、オレの頭なんか撫でて面白いのか?
そんな疑問が浮ぶが、そんな疑問も気にならないくらい
心配な気持ちも沸き起こる。

「やっぱ相当疲れてんだろうなぁ…。」
先ほどから見上げている幸村の精悍な顔には若干疲れの色が浮んでいる
様に見える。
この春に就職をしてから幸村はテニスに打ち込んでいた時と同じくらい
仕事に打ち込んでいる。
自由の効く仕事をしているオレとは違い、慣れない会社生活は俺が想像
している以上に幸村の負担となってるのかも知れない。

「うーん。ま、コイツの癒しになれるなら、犬猫扱いくらい我慢してやるか!」
それにもう少し寝かせといてやるよ。体調崩されても面倒だしな。
そう呟いて、オレはくすりと小さく微笑んだ。


―そのちょっと後―

もう少し寝かせておいてやるか…と頭を動かさないように最新の注意を
払いながらテレビの方を向くと、先ほどまで見ていたバラエティ番組が終り、
別の番組が始まっているようだ。

…今、何時だ?

体を動かせないなりに自由が利く右手を伸ばして、ソファーの横にあるテーブルの
上に放置しておいたオレのケータイに手を伸ばす。
よいしょ!と振動を起さないように苦労しながらケータイを手にとり、
目の前に翳してサイドボタンを押すと…

「21…時じゅう…よん…分?」

は?

「21時14分んんん~!?」
驚きに大声を上げ、幸村の手が振り落とされるのも構わず
起き上がると、幸村が「ううん…」と少し迷惑気な声を上げる。
「ううん…じゃねぇ!!
あー!もう21時かよ!夕飯の時間とっくに過ぎてるじゃねぇか!折角作ったのに!」
寝起きで判断力の鈍った頭を抱えて、リビングを右往左往した後、
「起きろ幸村!!寝てる場合じゃねぇ!早く起きろ~~!!」
まだソファーの上で船を漕いでいる幸村の襟首を掴み揺さ振り起すと、
足音高くキッチンへ向かう。

「どうしたの?ブン太?何があったの?」
はぁぁ…と欠伸をしている幸村に
「何があったの?じゃないぜ!夕飯だよ!夕飯!もう21時だぜ!」
と言うと幸村も少し焦った声になる。
「え!?もう?」
「そう!すぐ準備するから!幸村はテーブル片しといて!」
「分かった。」

休ませてあげようと心に決めた途端に、どたばたしだした事に少しの罪悪感を感じつつ。
こんな生活もオレたちらしくて中々楽しいかもしれない…。
とスープを温め直しながらオレはチラリと考えていた。
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わぁお
ちゃっかり同棲しよってからにw
もう二人してにゃんにゃんしてればいいよ!
2008/09/27(Sat)18:24:31 編集
無題
うふふw
ブン太の頭をソファーに座って撫でる幸村の図がポコンしたのですよ
兄弟設定その後的な感じでw
もちろんにゃんにゃんしますよー!猫だけに!
2008/09/27(Sat)19:08:48 編集
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