「っ!!幸村くん!俺…、幸村くんのこと好きなんだ!」
この言葉から変わってしまったんだ。何もかも…。
モラトリアムの終焉―幸村side―
毎日のように「幸村くん!幸村くん!と駆け寄ってきては懐く、
可愛らしくて弟のように慈しんでいたあの笑顔は
あの日以来俺に向けられることは無くなった。
ブン太は一見いつも通りだが、確実に俺を避けている。
俺も正直顔を合わせ辛いから気が楽ではある。
けれども……。
遠くで赤也とじゃれているブン太が見える
いつもと変わらない…以前までは俺に向けられていた笑顔が
今は赤也や仁王やジャッカルに向けられていて…心が揺れる。
ねぇ…ブン太。何で君は笑っているの?
何でその笑顔を俺以外のヤツに向けてるんだ?
何で俺の隣に君はいないの?
そんなのことは決まっている。ブン太が俺に想いを告げたから…俺がその想いを跳ね除けたから…。
”ブン太のことそういう風には見られない”
そう答えたのは自分自身だ。
なのに何故こんな風に心が乱れるのか…。
笑顔を向けられてるやつにこんなドロっとした感情を覚えるのか…。
そうか。
俺もブン太のことが好きだったんだ・・・。
男同士だから…そんな風に心にストップをかけていた。
自分の気持ちに正直に俺にぶつかってきてくれたブン太を受け止められなかった。
あの時に…あのモラトリアムに戻れたならばどんなにいいだろう…と
願わずにはいられない。
過ぎた時間はもう戻せないのだけれど…。
俺はまだ間に合うだろうか…?
PR